あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私はすぐ横まで来ていた郁也さんを見上げる。

「別に隠す事はないんじゃない?」

いぶかしげに私を見る郁也さん。

「でも、まだ人に話せる段階じゃないですよね?」

そう言うと、郁也さんはとっても不機嫌な顔になった。

「早く萌香は俺のモノだって宣言したいくらいだ。」

私は目を丸くする。

「ここは男ばかりだからな。本当に心配なんだ。一緒に転職してくれたら安心なのに。」

郁也さんも手が私の頭を撫でる。

「私を信用して下さい。」

私は郁也さんの手を取る。

そこに山根さんの電話に内線が掛かって来た。

それを慌てて取る。

見られているわけではないんだけど、郁也さんとのこんな姿が恥ずかしい。

「はい。」
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