あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私が返事すると、それは小夜子さん。
「今宅急便が届いて着払いみたいなの。荷物を確認してもらえる?」
備品の発注は私の仕事。
代金を払ってから、商品が違っていたら困る。
「分かりました。すぐ降りて行きます。うわっ。」
「どうしたの?相原さん。」
電話口に叫んでしまった私に、小夜子さんが心配そうに聞いてきた。
「いえ、大丈夫です。今行きます。」
私はそう答えながら、郁也さんを睨む。
そう、小夜子さんと内線で話している私の額に郁也さんがキスをしたのだ。
びっくりして出てしまった声。
私は受話器を戻すと、郁也さんに言った。
「すいません、用事が出来たんで事務所に戻ります。」
私の慌てた様子に、郁也さんはクスリと笑う。
「なるべく早く仕事を終わらせるから。後でラインする。」