あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

そう考えると、私にもうっすらと心当たりが…。

「俺は社長と両方の課の主任には頭が上がらない。仕事も社会人としてもすべてをたたき込まれた。」

私がクスッと笑うと、それを郁也さんが目ざとく気が付いたようだ。

「たまたまなんですけど、郁也さんが辞めると決まってから、伊藤さんや山崎さん、そして小夜子さんに郁也さんの事をいろいろ聞く機会があって…。」

私はそこでハッとする。

もしかしてこの人たちは…。

「俺の気持ちが萌香にある事を分かっていて、萌香にそんな風に話をしてくれたのかもな。」

私が思っていたことを先に言った郁也さん。

「だいぶいろんな人とぶつかったみたいですね。」

私は聞いた話を思い出す。

「とにかく必死だったからな。自分が納得出来ないと納得がいくまで説明を求めた。若気の至りとはいえ、よくそれだけの気力もあったなって今ならそんな風に思うよ。」

自分の事ながら呆れたような顔をする郁也さん。