あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「いい加減、郁也さんは辞めよう。」

そう言って案の定、寝室のベッドに私は降ろされた。

「親父に会う前に、萌香が欲しい。ダメか?」

妙に男の色気がにじみ出ている郁也さん。

「既成事実を作って、堂々と親父の前で萌香と結婚するって宣言したい。」

ハッとするほどの男の色気を感じて、私は唖然とする。

そんな郁也さんに圧倒される。

「…あの…、初めてなんですけど…、大丈夫でしょうか…、私…。」

ごくりと息を飲みながら、もう私は何を言っているのか分からない。

「怖い?」

そう優しく私の頭を撫でる郁也さんの手が私の頬まで下りて来た。

私はうっすらとうなずいた。

でも郁也さんの言っている怖いが、私が今感じている怖いと違うような気がする。

それが伝えたくて、私はもう一度、今度は強く首を横に振る。

「郁也さんに嫌われないか…、そっちの方が怖い…。」
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