あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「ごめんなさい、こんな格好で。」
玄関を出て行こうとしていた透さんに頭を下げる。
「萌香ちゃんが来ている事を忘れていたよ。」
そう笑いながら、透さんは郁也と私を交互で見た。
「また報告を楽しみにしている。」
意味ありげに透さんは郁也に笑いかけると、そのまま出て行った。
「あいつ、わざとだぜ。」
透さんを見送ってから、郁也さんが笑いながら私を見る。
「こないだの車の様子で、多分心配だったんだろう。だからわざわざ出掛ける前にここに寄ったんだぜ。」
私達を交互に見たのは、その様子を肌で感じたかったんだろう。
「透さんに愛されているんですね。」
私は茶化すように言った。
「萌香のいいライバルかもな。」
郁也はそんな風に笑った。