あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「ごめんなさい、こんな格好で。」

玄関を出て行こうとしていた透さんに頭を下げる。

「萌香ちゃんが来ている事を忘れていたよ。」

そう笑いながら、透さんは郁也と私を交互で見た。

「また報告を楽しみにしている。」

意味ありげに透さんは郁也に笑いかけると、そのまま出て行った。

「あいつ、わざとだぜ。」

透さんを見送ってから、郁也さんが笑いながら私を見る。

「こないだの車の様子で、多分心配だったんだろう。だからわざわざ出掛ける前にここに寄ったんだぜ。」

私達を交互に見たのは、その様子を肌で感じたかったんだろう。

「透さんに愛されているんですね。」

私は茶化すように言った。

「萌香のいいライバルかもな。」

郁也はそんな風に笑った。

< 176 / 400 >

この作品をシェア

pagetop