あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「私はきっとかないませんね。」

私がそう言うと、二人で声をあげて笑った。

本当に穏やかな時間が過ぎる。

私達は簡単にお腹を満たすと、それぞれが出掛ける準備をした。

今日はラフにポロシャツにジーンズ姿の郁也。

私もチュニックにパンツを合わせた。

これならデパートの中を疲れずにウロウロ出来るだろう。

「行こうか。」

郁也がそう言って、私達は郁也のマンションを後にする。

会社と反対方向の電車に乗った。

もちろん私の右手は郁也の左手におさまっている。

そして目的のデパートに着くと、そのままネクタイ売り場に直行した。

「会社でするネクタイなら、そんなに派手じゃない方が良いですよね。」

私は所狭しとディスプレイしてあるネクタイを手に取る。

「何本買うつもりですか?」

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