あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私は同じくネクタイをじろじろと見ている郁也に聞く。
「3本くらいかな。」
でも目移りしているのか、郁也はさっきから唸っている。
「作業着なら楽なのに。」
そうぶつぶつ言っている。
「ほら営業の伊藤さんや山根さんがいつもしている格好で良いなと思ったネクタイの色なんかありませんか?」
そう私が言った途端、郁也は私の顔を覗きこんだ。
急に不機嫌になった郁也。
「山根と一緒の格好をさせたいわけ?」
「どうしてそうなっちゃうんですか。イメージですよ。」
私は何気に切り返す。
そして1本のネクタイを差し出した。
「青系ならこんな感じはどうですか?」
斜めのストライプの少し落ち着いた感じのネクタイ。