あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「じゃあ、またな。」
透さん達は私達が居たフロアへ、私達は下りのエスカレーターの方へ、そこで別れた。
「何か変だな。どうしたんだ、萌香。」
郁也がエスカレーターで移動しながら聞いてきた。
「どうも懐かしい友達と会ったという雰囲気じゃなかったよな。」
私は郁也から視線を外してうつむいた。
「話したくないなら良いけど、彼女は透の恋人だからこれからも顔を合わせる機会があるかもしれないぞ。」
「うん…。まだ有美の事は私の中ではうまく消化出来ていないの。ううん、私より有美の方がきっと私と会いたくないと思う。」
郁也は私が有美の事をこれ以上は話さないと判断したんだろう。
それ以上は聞いてこなかった。