あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「郁也がそばにいてくれたら大丈夫。」
私は弱々しく答えた。
私は郁也の大きな胸に顔を押しつけた。
「こうやって郁也の心臓の音を聞きながら寝るから、郁也も眠って。」
郁也の心臓に耳を当てていると、段々私は落ち着いてきた。
「…ありがとう。」
私の口から自然とこぼれた言葉。
郁也の反応はない。
さすがに郁也は眠っちゃたかな。
そんな風に思っていると、ごそっと郁也が動いた。
「萌香より先に眠ったりしないから安心して。」
そう言って私の頭を撫でた。
それだけで大きな安心をもらったような気がした。
その郁也の言葉と手は、私をゆっくりと眠りへ引き込んでくれた。