あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「郁也がそばにいてくれたら大丈夫。」

私は弱々しく答えた。

私は郁也の大きな胸に顔を押しつけた。

「こうやって郁也の心臓の音を聞きながら寝るから、郁也も眠って。」

郁也の心臓に耳を当てていると、段々私は落ち着いてきた。

「…ありがとう。」

私の口から自然とこぼれた言葉。

郁也の反応はない。

さすがに郁也は眠っちゃたかな。

そんな風に思っていると、ごそっと郁也が動いた。

「萌香より先に眠ったりしないから安心して。」

そう言って私の頭を撫でた。

それだけで大きな安心をもらったような気がした。

その郁也の言葉と手は、私をゆっくりと眠りへ引き込んでくれた。














< 189 / 400 >

この作品をシェア

pagetop