あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私はハッとして郁也を見た。
「あいつの彼女も萌香の事は触れないらしい。だから二人で決めたんだ。お互いの彼女が自分達から話し出すまでそっとしておこうって。」
優しい顔つきの郁也。
私の選んだ青のストライプのネクタイに、私が贈ったネクタイピンをつけている。
「だから透にも何もなかったと言う事で、予定通り実家に向かおうと返事しておいた。」
良かった。
瞬間にそう思った。
これは有美と私の間の事で、郁也や透さんには関係ない。
二人がギクシャクしてしまっても困る。
「それが良いと思う。」
そう私が言った時、インターホンが鳴った。
「何とか準備は間に合ったみたいだな。」
そう言って郁也は玄関へ向かう。