あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私もバッグを持って、その後を追った。
「おはよう。」
いつもの底抜けの明るい顔とは違って、私達を伺う様に玄関を開けて顔を出したのはもちろん透さん。
「おお。今日は済まないな。」
郁也はいつものように挨拶した。
「…おはようございます。」
私も郁也の後ろから透さんを伺う様に挨拶した。
「昨日は申し訳ありませんでした。もう少し有美と私に時間をくれませんか?」
私は少し硬い笑顔でそう透さんに言った。
「あれから有美は考え込んいるみたいだ。何か踏ん切りがつかないような…。」
私が有美の事を切り出したので、透さんはかえってホッとしたみたいだ。
「有美の為にも一回時間を作ってやって。」
透さんはそう言って優しい笑顔を向けてくれた。
「有美が私を受け入れてくれるなら喜んで。」