あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
その時、郁也の手が私の肩に触れた。

言葉はなかったけれど、その手はとても温かく感じた。

私をちゃんと信じてくれている事が伝わってくる。

そして私達3人は車で郁也の実家へ向かった。

今日は透さんの私用車という事で、若者が好む四駆のSUVタイプのもの。

透さんはアウトドア派なのかな。

着いたのは、来月から郁也が通う事になる山中建設より15分ほど離れた大きな日本家屋。

門が自動で開いて、そのまま透さんは車を運転させ、中へ入って行く。

頭では分かっていたはずだが、やはり日本有数の建設会社の社長のお宅。

私はとんでもない所へ迷い込んだみたいだ。

郁也のマンションへ初めて行った時の事を思い出す。

でも今日はその比ではない。

「郁也…。」

私は心配になって、郁也の方を向いた。

「大丈夫だから。代々受け継いだ家が大きかっただけだから。」
< 198 / 400 >

この作品をシェア

pagetop