あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
そんな風に笑う郁也。
運転している透さんも言った。
「もう逃げられないんだから、開き直っちゃえよ。」
そして透さんは車を止めた。
「俺は離れの郁也の部屋に居るから、昼食の時に呼んでくれ。」
そう言って透さんは私に近づいた。
「郁也と向こうの社長が山中建設に来た時、俺も同席していたから心配ないよ。伯父さんはとっても喜んで、早く萌香さんに会いたいと言ったぐらいだから。」
私にそう言った透さんは最後にこう付け加えた。
「郁也が居れば大丈夫。自分に自信を持って、会っておいで。」
そして透さんは郁也に視線を移し、ガッツポーズをした。
「行ってくるよ。」
郁也の言葉が合図になったかのように、そこで私達二人は透さんと別れた。
「まあ、お帰りなさい。」
玄関が開かれて、出てきた優しそうなご婦人。