あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

そんな風に笑う郁也。

運転している透さんも言った。

「もう逃げられないんだから、開き直っちゃえよ。」

そして透さんは車を止めた。

「俺は離れの郁也の部屋に居るから、昼食の時に呼んでくれ。」

そう言って透さんは私に近づいた。

「郁也と向こうの社長が山中建設に来た時、俺も同席していたから心配ないよ。伯父さんはとっても喜んで、早く萌香さんに会いたいと言ったぐらいだから。」

私にそう言った透さんは最後にこう付け加えた。

「郁也が居れば大丈夫。自分に自信を持って、会っておいで。」

そして透さんは郁也に視線を移し、ガッツポーズをした。

「行ってくるよ。」

郁也の言葉が合図になったかのように、そこで私達二人は透さんと別れた。

「まあ、お帰りなさい。」

玄関が開かれて、出てきた優しそうなご婦人。

< 199 / 400 >

この作品をシェア

pagetop