あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「ただいま、母さん。」

こんな立派な家だから、てっきりお手伝いさんでも出てくるのかと思った。

「あなたが萌香さんね。」

郁也にうなずくと、郁也のお母さんは私に笑いかけた。

「さっ、入ってちょうだい。主人が首を長くして待っているわ。」

玄関の中に入ると、その広さに圧倒される。

既に家に上がってスリッパを履いた郁也は私を振り返る。

「おいで。」

そんな私達二人の様子を見て、くすくす笑うお母さん。

「郁也のそんな優しい声を初めて聞いたわ。」

私は思わず顔が赤くなる。

「母さん、萌香が困っているだろう。」

郁也はお母さんを睨む。

「郁也は本当に萌香さんの事が大事なのね。ちょっと安心した。」

そしてお母さんは私の方を向いた。

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