あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
この説明のつかない気持ち。

私は何だかつまらない感じがして、パラパラとマニュアルをめくる。

ダメだ、やっぱり気が乗らない。

私はマニュアルをデスクの片隅に置くと、パソコンに向かった。

パソコンに保存してある従業員名簿を確認する。

「えっと、佐川郁也(いくや)…、誕生日は…10月24日か。」

あと半年で30歳になるんだ。

私はふんふんと頷きながら、パソコンを眺めた。

この辺の個人情報が退職の手続きに必要になるな。

そんな事を思っていると、誰かに呼ばれた。

「相原さん。」

さっき工務課にいた山崎さんがやって来た。

「あっ、社長も居るんならちょうどいい。」

山崎さんがそう言うと、社長は手を止めて私の方にやって来た。

「佐川の事なんですけど…。」

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