あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私は思わず顔を伏せてしまった。

「まあ、そう言う事だ。」

郁也はてっきり否定するかと思っていたのに、笑いながらそんな事を言う。

「夜には萌香を家に帰さないと、明日は会社があるからな。」

この長かったような短かったような、そんな週末が過ぎていく。

郁也のご両親に見送られて、私達はまた透さんの車に乗った。

「郁也たちを送ったら、俺も有美の所に行こうかな。」

私達はそんな透さんのつぶやきには気が付かなかったけれど。

透さんに別れを告げて、郁也のマンションに帰って来た私達。

「今日も泊まって、明日はここから出社したら?」

郁也はそんな事を私に言った。

「ん…、一度家に帰るわ。この週末はうちの事何も出来なかったし。」

「今から帰っても何も出来ないだろう?」

もう夕食も終えて、時間はもう8時。

そう言われればそうなんだけど、やっぱりけじめは必要だ。

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