あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「でもやっぱり帰るね。」

私は郁也の部屋に置いていっても差し支えない荷物を分けた為、半分ほどになった私の持って帰る荷物。

「透に送らせようか?」

そう郁也は言ったけど、私はそれを断った。

「駅まで送って。近いんだから大丈夫。」

郁也は大きな旅行鞄を引っ張りながら、私達は並んで駅まで歩いていた。

「明日からまた会社だな。」

郁也はポツリと言った。

「あと10日ほどですね。」

私は何気なく言ったつもりだったけど、急に寂しく感じた。

「郁也の居ない会社なんて想像したくないな。」

郁也に私の表情を見られたくなくて、つい俯いてしまった。

「だから…、すぐにうちの会社に来ればいいだろう。それともすぐ一緒に住むか?」

郁也がそんな事を言うと、何となくくじけてしまいそうな私。

< 211 / 400 >

この作品をシェア

pagetop