あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
17
「おはようございます。」

今日は事務所に入る前に山崎さんと出くわした。

「おはよう、相原さん。記念品は決まった?」

山崎さんは相当気にしてくれているみたいだ。

多分心細げな私に頼んだ事を少し後悔しているのかもしれない。

「はい、ちゃんと用意できましたよ。一人500円で集金してもらえますか?」

こういう事は偉い役職の人にお願いした方が早い。

「厄介な事を頼んだんだから、それぐらいさせてもらうよ。ところで何にしたの?」

ニヤリと笑う山崎さん。

「ええ、思い切って佐川さんに聞いて、ネクタイにしました。転職後はスーツが多いという事だったので。」

なるべく余分な事を言わないように気を配りながら、私は話した。

「ふ~ん。」

意味ありげに山崎さんは私に視線を合わせた。

「ネクタイなんて、選ぶのは大変そうだけど?」
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