あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

せめて郁也がこの会社に居るまではばれない方が仕事をしやすいよね。

それに口止めされてはいないけど、郁也の実家の事も内緒にしておいた方が良さそうだし。

私はぼっーと考えながら事務所に入った。

社長と小夜子さんは二人で何かを話していたみたい。

私が入って来た事に少し驚いたようだ。

「おはよう、相原さん。」

社長がこちらを見て小夜子さんと笑う。

「寝坊でもした?」

小夜子さんは自分のデスクに戻りながら、私に聞いた。

「へっ?」

「どうしたの?何かねじが緩んでいるみたいよ。それとも週末に何かあったのかしら?」

意地悪そうな小夜子さんの表情。

こういう時は本当に楽しそうなんだから。

「仕事の方はしっかり頼むよ。」
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