あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「不器用で仕事を覚えるのは遅いけど、一度覚えたら滅多にミスしない。カメさんみたいなタイプよね。」
なんとも小夜子さんらしい表現の仕方だ。
私が言うのもおこがましいけど、こんな所が可愛い人だ。
「あまり佐川さんを待たせないようにね。でも佐川さんもこの会社に来るのも数えるほどの日数になっちゃたわね。」
少し寂しそうに小夜子さんは言った。
「でも転職となると、しばらくは佐川さんもバタバタするわね。」
またまた鋭い指摘をする小夜子さん。
「そうですね。」
私はそんな風にしか答えられない。
そこに朝礼を終えた郁也が入って来た。
「小夜子さん、あんまり萌香をいじめないで下さいね。」
そしてたじたじになっている私の方を見た。
「別に隠す必要はないんだから。聞かれれば素直に話したらいい。」
郁也はそう言ってニッコリとした。