あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「だから私が佐川さんのお父さんに、相原さんを推薦して欲しいって社長に頼んだの。」

「俺は辞める時まで社長に世話をかけっぱなしってわけさ。」

郁也も笑っている。

知らなかったのは私だけだったんだ。

それでも不思議と温かい気持ちで満たされていく私。

「そうそう、山崎や伊藤も佐川の事を気にしていてな。佐川の態度は分かりやすかったみたいだぞ。それに気づかなかった俺と相原さんはかなり鈍いみたいだぞ。」

わははと豪快に笑う社長に、私達3人もつられたかのように笑い出した。

「ところで、二人はどうなったんだ?」

社長は真顔になる。

「昨日萌香を両親に会わせて来ました。今度は萌香のご両親に挨拶に行く予定です。」

郁也はハッキリとした口調で答えた。

「そうか、それは良かった。…で、相原さんはいつ退職するの?」

急に私に話が振られ、ちょっと驚く。
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