あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

でも郁也の性格なら、やりがいを感じてのめり込みそう。

そうなると、私の事なんて頭の片隅に追いやられそうだな。

そんな事を思うだけでも、寂しく感じてしまう私。

「相原さん、どうしましたか?」

木村君にそう聞かれ、私はハッとする。

「ごめんなさい。佐川さんが居なくなるとどうなるのかなって、ちょっと考えていた。でも木村君も佐川さんが抜けると、担当する現場も増えて忙しくなるよね。」

木村君はにっこり笑う。

「はい、だから佐川さんに残りの時間でしっかり勉強させてもらうつもりです。
佐川さんは厳しい人ですけど、俺は仕事面で尊敬しているんです。」

さすが2年目の木村君はパワーがみなぎっている。

ガッツポーズをしそうな雰囲気。

「佐川さんの良い所をたくさん吸収して、頑張ってね。」

私はいつも郁也が使っているタイプのファイルを出してきた。

「とりあえず5冊もらって行きます。余ったら返しに来ますね。」

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