あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
小夜子さんが横から口を挟んだ。

「小夜子さんはそうだったかもしれないけど、萌香は食べるのに一生懸命で全然こっちも見ないし…。」

本当の事を言われてしまって、私は正直にうなずく。

「はい、その通りです。」

私はシュンとする。

郁也が私を見た。

「萌香、また山根と一緒だっただろう。あれほど二人っきりになるなと言ったのに。」

そう言われ、ハッとする私。

ここへ来るまでの事を言っているんだろう。

「でも社長や小夜子さんも一緒だったよ。」

それにあの場で山根さんを避けるのは露骨すぎる。

「まあ、いい。」

郁也はビールを飲んだ。

社長も小夜子さんもそんな郁也の様子を笑っている。

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