あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私も郁也を見つめるだけ。

すると、後ろの方から声が掛かった。

「お前の婚約者はしっかり守るから、お前も新しい会社で頑張れよ。」

伊藤さんだ。

その一声に、ぱちぱちと静かに拍手が起こった。

それが合図のように、その次の瞬間一斉に拍手が沸き起こった。

「みんな、ありがとう。」

私を見ながら、嬉しそうに答える郁也。

「おめでとうございます。」

そう叫んだのは木村君。

後ろの方で社長と小夜子さんが微笑んでいる。

社長が小夜子さんの肩を抱いている。

そんな興奮の雰囲気の中、私は今日の主役である郁也と共に帰るよう促された。

「俺達は二次会に行くから。」

そう軽く山崎さんに言われて。

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