あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
郁也と私は店の外に出た。

何とも言えない私の表情を見て郁也は心配そうに何かを言った。

でも私はさっきからぼっーとしていて、何も考えられなかった。

だから当然郁也の声は私の耳に入って来ない。

「萌香。」

私の耳元で大きな声で呼ばれて、私はハッとする。

「あっ、何か言った?」

私が郁也を見上げると、郁也は私にキスをした。

「相談もなしにみんなにあんな事を言ってしまったから、怒っているんだろう。」

ずっと郁也との事はばれない方が良いと確かに思っていた。

でも私は首を横に振った。

「ううん、嬉しかった。でも本当にびっくりした。」

私は気の抜けたような微笑みを郁也に向けた。

「今日の俺達の二次会はもちろん俺のマンションで。分かって居るだろう?」

ホッとした様な笑顔を見せた郁也は私の手を握った。

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