あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
毎日会社に通うには、少し遠いかなという程度。
実は年子の弟が結婚して、隣に住んでいる。
だから私は家から出て、一人暮らしを始めた。
それは入社して2年ほど経った時だった。
「もしかして弟さんも来る?」
昨晩ベッドの中で郁也は聞いた。
「分かんない…。」
私の頭の中には弟のおの字もなかったから。
郁也が言うには、結婚を申し込みに行くのに、男兄弟が同席していると気恥ずかしいらしい。
その事がやっぱり気になるのか、歩きながらもう一度聞かれた。
「私からは何も連絡していないけど…。でも今付き合っている人と行くって言ったから、親に聞いたら面白がって来るかもね。」
何気ない私の言葉に敏感に反応した郁也の表情が面白い。
「う~ん。」
唸りながら、難しい顔をしているのだけれど、笑いがこみ上げてくるような変な顔。