あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「弟さんが居るのは困るけど…。」
そして私達は電車に乗った。
「今付き合っている人…かあ~。何か嬉しい響きだな。」
土曜日のせいか、電車は空いている。
私達は二人で座席に座った。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。」
私は郁也の顔を見た。
「私みたいな娘を貰ってもらえるって、喜んでいるかも。」
私はそんな軽い冗談を言って、郁也を和まそうと思った。
へらへらと笑う私を、鋭い目つきで見る郁也。
何?また何か怒らせた?
私はぎょっとする。
なかなか怖い郁也の表情に慣れない…。
人の顔色をつい伺ってしまう私の悪い癖。