あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「自分の事をそんな風に言うな。俺は萌香の自己評価は低すぎると思う。もっと自分に自信を持て。」

今までいろんな人に、そのような事は言われた事はある。

褒められても心当たりが無くて、よく自分の事ながら首をかしげたものだ。

でも…。

もっと人の評価を素直に受け取っても良いのかな。

確かに社長や小夜子さんにもそれらしい事を最近言われたような気がする。

「きっと萌香のご両親は、小さい頃から萌香と弟さんを比較して来たんじゃないのか?それは多分、萌香に限っては悪い方に出てしまったのかもしれないな。」

私は核心を突かれた気がした。

「萌香、小さい頃から頑張れ、頑張れって言われてきただろう。」

私は下を向いて、ぎゅっと郁也のジャケットの裾を掴む。

確かに何でも出来て、要領のいい弟は親のウケが良かった。

でも私はそんな弟に適うはずがなかったから、いつも後ろに下がっていた。

「でも、ご両親はちゃんとご両親なりに萌香に愛情を注いでくれたんだろう?」

私はパッと顔を上げた。

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