あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「そうでなければ、俺が萌香を好きになるはずがない。」

私の頭を撫でる郁也。

「そうやって育ってきたからか、萌香は他人に優しい。だから会社でも必要以上に動いてしまうし、愚痴を聞く事にもなっちゃうんだろう。」

本当にこの人は私の事を全部分かっているんだ。

「さっ、降りるぞ。」

私が告げてあった実家の最寄りの駅。

私は慌てて郁也の後に付いて電車を降りた。

「あっ…。」

駅を降りると、そこで待っていたのは私の弟…、慎(しん)だった。

「おう、萌香。迎えに来たぞ。」

郁也のマンションを出る時に、今から出る事を実家に連絡をしておいた。

それで慎が迎えに来たに違いない。

「大事な姉貴の相手をちゃんと確認させてもらわないとな。」

郁也に聞こえないように、私にひそひそ声で言う慎。

「萌香?」
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