あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

慎の家族も来ているのが分かっていたし、一人結婚していない私は最近実家に帰る事がめっきり減っていた。

横でニコニコと郁也が笑っている。

本当なら駅から歩いてくるつもりだった実家。

慎の車でだったら、すぐについてしまった。

「今日、佐知は子供を連れて実家に行っているから。」

私の方を見て、家に入る前に慎はこう言った。

慎もついて行けば良かったのに…。

私は今からの事を考えると、ついそう思ってしまった。

慎の奥さんの佐知さんに、今年幼稚園に入った双子の姪っ子。

私とは仲が上手くいっていると思う。

でもこんな日に実家に行くなんて、佐知さんに気を遣わせてしまったのかな。

「前々からあっちの実家に用事で行く予定だったんだ。佐知がこんな日に留守にするなんて残念だって言っていた。」

そう、私は両親に郁也を連れて実家へ行くことを伝えてあった。

そりゃ、佐知さんだって興味津々だろう。
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