あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「ねえ、萌香を佐川さんに託してみない?久しぶりに会った萌香はとても良い表情をしていると思うの。それはきっと佐川さんのおかげだと思うの。」
お父さんの表情がパッと変わった。
「私もそう思っていたんだよ。萌香に自信がついたというのかな。そんな感じを受けていたんだ。」
「…そうなの。会社で私を必要としてくれる人も居るの。そしてね、それに気が付かせてくれたのは、郁也さんだと思うの。」
そして私は一度目を伏せると、もう一度顔を上げた。
「私には郁也さんが必要なの。」
「私にも萌香さんが必要です。」
ハッキリと私にそう言ってくれた郁也の方を向いた。
二人で微笑み合う。
「それならすぐに結婚するか一緒に住めばいいのに。何で半年とかそんな時間が居るんだ?」
単純な慎はそう聞いた。
「それが萌香たちのペースなのよ。それでいいじゃない。」
お母さんが笑った。