あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
佐川さんはそう言って、仕事に戻って行った。

さっきまでそんなに考えていなかったけれど、男の人と2人きりでお酒を飲むなんて、私は初めてではないだろうか。

なんせ彼氏居ない歴27年だもの…。

大学時代には5人くらいのグループでいつも居た。

男の子3人に、女の子は私を入れて2人。

そこまで考えて、私はしまったと思う。

すごく楽しかったんだけど、最後が…。

胸にうずまく黒い闇。

私はそれ以上その事を思い出したくなかったので、パソコンに無理やり向かった。

午前中に小夜子さんに教えてもらいながら作った佐川さんの書類。

小夜子さんはいろいろと細かい点まで教えてくれた。

「ここは居心地が良いのか、なかなか中途退職者が出ないからね。相原さんが分からないのも仕方ないよ。」

マニュアルも前回の中途退職者の時から変わっている点も多く、電話で保険事務所など公的な機関にも問い合わせをしながら、ついでにマニュアルも修正しながら何とか終わらせた。
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