あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「今度は佐川さんのご両親にも会わせてもらえるかね?」
お父さんは郁也に言った。
「はい、なるべく早くに時間を空けるように言います。」
満面の笑みでそう答える郁也。
穏やかな時間が流れる。
時々慎が上手に笑わせてくれて、そして郁也と私は予定より長居をしてから、実家を出た。
慎に駅まで送ってもらい、電車に乗ると、郁也は大きく息を吐いた。
「疲れたね。」
そんな郁也の様子を見て、私は笑いかけた。
「やっと人心地ついたよ。」
少し郁也はネクタイを緩めた。
実家で昼食を食べさせてもらって、お腹が満足しているせいか、電車に揺られて私は眠気に襲われて来た。
カクンカクンと隣に座る郁也の肩に、私の頭が当たる。
「駅についたら起こすから。」