あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「だったら、私だって…。」
私は郁也に抵抗しようとした。
「萌香は分からないだろう。俺主導で強引に進めてきた事に俺自身が不安を感じている事に…。」
そこで郁也は言葉を切った。
そして私達は郁也のマンションに入って行く。
私は郁也の手をぎゅっと握る。
私のこの思いはちゃんと郁也に伝わっていないのかな。
何だか私の方が不安になってくる。
やっとマンションの中に入り、二人でソファに座った。
「俺は萌香にすべてを話した。隠し事はない。」
私は真剣な郁也の顔にうなずいた。
「…でも萌香は違うだろう?」
郁也が何を言いたいのか、すぐに分かった。
「萌香に全部話せと言っているわけじゃない。ただ萌香にとって、俺がまだそこまでの存在ではないという事なんだよな。」