あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私はその場に崩れ落ちた。
「萌香!」
私は郁也に抱きかかえられていた。
「萌香、済まない。俺の勝手な思いをぶつけたばかりに…。」
「ううん、ごめんね。まだやっぱり私の中でちゃんと消化出来ていないみたい。」
私の弱々しい声に、心配そうに私の顔を覗きこんだ郁也。
「まだ俺にも話せる段階じゃないんだな。」
郁也はそう優しく言って、私の頭を撫でてくれた。
私は郁也の胸に顔をうずめた。
私が一番安心できる場所は、やっぱりここなのだ。
「きっと、郁也になら話せる時が来ると思う。だから…、それまで待ってくれる?」
私はそう言うのが精一杯だった。
「…分かった。でも俺は萌香の一番の味方だからな。」
郁也は私を思いきり抱きしめてくれた。