あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

でも私だって、どんな人が来るかは分からない。

ただ会議室に通して、お茶を出すだけだから。

社長と山崎さんが面接をする。

私は会議室の机を拭いて、椅子をまっすぐに並べ直してから、事務所に戻った。

しばらくすると、会社の表玄関のチャイムが鳴った。

私は一応事務所で待機している社長と山崎さんに目を合わせてから、玄関へ向かった。

私は玄関を開け、その人の顔を見た。

「…本日面接をお願いしています…。」

相手の声が止まった。

私も息を飲む。

「…萌香？」

ああ、間違いない。

私の名を呼ぶこの声…。

「面接の方ですね。お名前をお聞きしてよろしいでしょうか？」

私は気が付かなかったように、応対した。