あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「あとは佐川さんに退社後に自分でしてもらわないといけない手続きの説明をしてあげてね。」

小夜子さんのそんな言葉を思い出す。

しまった…。

さっき佐川さんがここに寄ってくれた時に、伝えれば良かったんだ。

私って何か抜けているんだよね。

今晩、お酒を飲む前に伝えた方が良いかな。

それとも日を改めた方が良いかな。

そんな事に頭をめぐらす。

でも本当に来月には佐川さんはこの会社に居ないんだよね。

2人でお別れ会をするというのに、まだグズグズ考えている私が居る。

「どれだけ佐川さんに頼っていたんだろう…。」

そう独り言を言った私に、営業課主任の伊藤さんが立ち止った。

たまたま外回りから帰って来たところのようだ。

「どうしたの?相原さん。」

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