あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

事務所のドアがガチャリと開いて、そこに入って来たのは…、郁也。

「ちょっと時間が空いたから、一度戻って来たんだ。山根、俺の婚約者を誘惑するのは辞めてくれるかな。」

ちょっと大人の雰囲気を醸し出している郁也。

「俺は俺なりに相原さんに振り向いてもらう様に努力を続けていくつもりです。まずは相原さんに対して、佐川さんと同じ条件にならないと。」

きっぱりとそう言い放った山根さん。

「山根さん、でも私には佐川さん…、ううん郁也が必要なんです。」

ここでひるんでいてはいけない。

私はそう思った。

「山根さんのお気持ちは嬉しいです。でも…。」

「思っているのは自由でしょう？」

山根さんはゆったりと笑うと、郁也を見た。

「もう少し粘って、俺の思いが軽くない事を伝えたい。」

「まあ、無駄な努力になってしまうだろうがな。」

郁也と山根さんはお互いが認めているよきライバルのようだ。