あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
自分の事を抜きで、こんな事を宣言し合っている二人から男を感じて、私は場違いな考えかもしれないけど、二人の関係を少し羨ましく思った。

郁也は会議室の方を指さした。

「面接の奴と何かあったのか?」

どの辺から、山根さんと私の会話を聞いていたんだろう。

「山根のいう通り、何だか萌香の反応はおかしいぞ。そんな様子なら、山根じゃなくても心配する。」

郁也は山根さんが居るのも気にせず、私の正面に立ち、私の肩に手を添えた。

「…ううん、今来ている面接の人が私の知り合いだったから、びっくりしただけだよ。」

私がそう言ったのを見て、山根さんは怪訝そう。

「本当にそれだけ?どうもそんな単純な雰囲気じゃなかったと思うんだけど。」

郁也は山根さんの言葉にうなずいた。

私はじっと郁也の目を見た。

お願い、分かって。

ここでは深く触れられたくないの。

すると郁也はくすっと笑った。
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