あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

「…山根、きっと萌香が昔いじめられた相手とか、あまり良い印象のない奴なんだろう。今はそっとしておいてやろう。」

急に郁也が引いた事に、山根さんは不満そう。

私は少し力が抜けた。

「そう、あまり会いたくない人だったから、本当に驚いて…。」

私はわざと真剣な顔をして、山根さんに言った。

お願い、これ以上突っ込まないで…。

私の気持ちが通じたんだろうか。

山根さんは苦笑いをした。

「分かったよ。営業課に戻っているから、何かあったら言って。これから会社で相原さんを助けられるのは、佐川さんじゃなくて俺なんだから。」

ものすごい形相の郁也と、何とも居心地の悪い私を残して、山根さんは事務所を出て行った。

「あいつ…、本気なんだな。萌香がこんなに動揺している時にあんな事を言うなんて。本当に萌香を自分で守るつもりなんだ…。」

郁也がつぶやいた。

そして私を見た。