あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

「佐川にあんな事をさせるなんて、よほど佐川は相原さんに惚れているんだな。」

社長の声に私は振り返った。

「でもな、あの滝川って奴は気を付けた方が良い。かなり相原さんに執着しているような感じだった。」

社長は心配しながらも、私に詳しく聞こうとはしない。

「あの…、聞かないんですか？」

私は申し訳なくて、そう聞いてしまった。

「佐川がさっき聞かないでやってくれと言っただろう。また相原さんが話したくなったら聞かせてくれ。俺に話しにくい様だったら、小夜子さんにでもいいから。」

「ありがとうございます…。」

私はそんな社長の言葉に甘えて、自分のデスクに戻った。

私はその後、この事を思い出さないように仕事を続けた。