あなたに包まれて～私を分かってくれる人～
そしていきなり私を抱き寄せたのだ。

「…萌香、今なら分かるよ。さっきの様子を見ていたら…、ねぇ、大丈夫だった？」

有美は勢いのまま私の顔を見て、必死に思いついた言葉を口がら出しているようだった。

「あの時と同じ光景だった…。あの時、私は勘違いをしたのね。ごめんね、ごめんね、萌香。」

思いがけない有美の様子に、ただただ呆然としている事しか出来ない私。

「萌香？」

有美と透さんに顔を見つめられ、私はやっと我に返った。

「とにかくあいつがそばにいるかもしれない。車で来たから、早くここを離れよう。」

有美が優しく私の肩を抱いてくれた。

透さんが周りを伺って居る。

乗るのが2度目となる透さんの車の中。

有美も私と一緒に後部座席に座ってくれた。

「私、萌香と再会してからずっとあの日の事を考えていたの。あの時は勝手に私が状況を解釈して、篤弘の話を一方的に聞く事しか出来なかった。でもこれだけ時間が経って、落ち着いて考えてみると、自分でもおかしく思う事ばかりで。萌香の話もちゃんとあの時に聞くべきだった。本当にごめんね。」
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