あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
どうやらこの階も透さんの家しかないようだ。

私は有美に招かれ、透さんと有美の家に入った。

そして私達は、お互いの思いのすべてを吐き出した。

正直、何も有美に話していなかった私の方が、しつこいくらいしゃべり続けた。

普段誰を相手にしても、どちらかというと聞き役に回る私なのに、次から次へと私の口から言葉が零れ落ちる。

もう止まらなかった。

「萌香。」

有美がにっこりと笑った。

「疲れたでしょ?」

有美はそういうと、キッチンへ向かった。

そしてしばらくすると、コーヒーを出してくれた。

「本当にごめんね。」

戻って来て、私の前に座るなり有美はそう言った。

「…ううん、私もちゃんとあの時有美に話していれば、お互いがこんなにつらい時間を過ごさなくても良かったのにね。私は逃げる事しか考えていなかったから…。」
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