あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「私もあの時はきっと萌香の話を冷静に聞けなかったと思う。この時間は私達にとってきっと必要だったんだよ。」
有美がそう言った途端、チャイムが鳴った。
「あれ、もう2時間も経ったのかな。」
有美は慌てて玄関へ掛けて行った。
何だか玄関の方が騒がしい。
「おい、萌香。」
私の大好きな人の声がする。
「迎えに来たから帰ろう。」
予定の時間より早く会食が終わったのかな。
私はおずおずと玄関の方へ向かった。
「うん、良い顔している。」
郁也は私の顔を見て、有美に笑いかけた。
「有美さん、これからも萌香をよろしくね。出来れば学生時代の萌香の話をいろいろ聞きたいな。」
いたずらっ子のような目つきをして笑う郁也。