あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

「そこに有美と他の2人がやって来たの。どうも3人は私の姿を見かけて、追いかけてきたみたいだった。」

私は郁也の胸を少し押しやって、郁也との距離を少し置いた。

「止めてくれたのは、雄二（ゆうじ）だった。雄二は私を篤弘から引き離してくれて、そして篤弘を殴った…。」

私は少し自分が震えているのを感じた。

「雄二はずっと有美の事が好きだったんだって。その時初めて知ったわ。」

私は苦笑いをした。

「でも有美は…、どうやら私の方が篤弘を誘惑したと思ったらしい。私に食って掛かって来たのは覚えているんだけど…、そこから私の記憶は曖昧で…。私は気が付いたら、自分の部屋に居たわ。もう一人の仲間だった直孝（なおたか）が送ってくれたような気がするんだけど、はっきり覚えていないの。」

私は天を仰いだ。

「結局上手くいっていると思っていた仲間をおかしくしてしまったのは私なんだって思い込んでしまった。だから携帯を解約して、全員と連絡を絶ったの。それを他の4人も望んでいると思ったから。」

「萌香…。」

郁也が優しい声で私を呼んだ。

「萌香は何も悪くないじゃないか。」