あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

そうなのだ、あの時は郁也の事でいっぱいいっぱいで、他の事は考えられなかった。

「それは光栄だ。やっと萌香のすべてを手に入れたような気がする。」

郁也の唇が私の唇を塞ぐ。

ああ、どうして郁也といるとこんなに安心してしまうんだろう。

どうしよう…、私…。

「…郁也が欲しい。」

私の願望は知らないうちに私の口から滑り落ちていた。

キスをしていた郁也が離れた。

「萌香…、今なんて言った?」

私の言葉が信じられないというような郁也の表情。

私は真っ赤になってうつむいた。

「ねえ、萌香。もう一回言って。」

郁也のそんな声に私は体中が熱くなる。

「…もういい。変な事言っちゃったみたいでごめんな…。」

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