あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私の言葉は最後まで繋げなかった。

「違う。萌香が初めて自分から俺を求めてくれたんだぞ。」

私は真っ赤になりながら、郁也の様子を伺おうとした。

すると郁也は私の顔を自分の胸に押しつけた。

「ダメだ。こんな顔、萌香に見せられない。」

郁也が天を仰いだのが分かった。

前にもこんな事があったけれど、あの時はやきもちだった…。

「…郁也…?」

「ものすごく嬉しい。」

郁也の手に力が込められた。

郁也の胸の鼓動が直接私の耳に届く。

私を抱きしめる郁也の手の力はどんどん強くなっていく。

それと共に郁也の鼓動も早くなっているのを感じる。

それに連動するように、私の胸の鼓動も激しくなって…。

胸が痛い…、そう思った瞬間、郁也に抱きあげられた。

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