あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「郁也…?」

やっと郁也の顔が私の目に映った。

きりっとしたその表情に、男を感じる。

「…萌香の望みをかなえようじゃないか。」

郁也は表情を崩さないまま、大股で寝室へ入って行く。

私をベッドに横たえて、私に覆いかぶさった郁也は私の耳元で囁いた。

「…今日は優しく出来ないよ。分かっているよね。」

郁也のその声に背中がゾクっと反応する。

向かい合った郁也の顔はまさに男。

「…郁…、也。」

私の声は郁也に届かなかったようで、郁也の荒々しい口づけに私は答えるので精一杯だった。

頭がぼおっとするほどの甘い甘いキスに、私はどれだけ郁也に落ちていくんだろう。

いつの間にか、私達はお互い生まれたままの姿になっていた。

郁也の顔がだんだんと私の首筋に落ちていく。

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