あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「でも…。」
「正直に相原さんがストーカーされているとみんなに言おうと思う。そうすれば誰も相原さんにしつこく聞く事はないだろうし。」
社長の気配りに頭が下がる。
「相原さんの退社時間なら誰かが事務所に戻ってきているだろう。でも皮肉だな。佐川が居なくなってからこんな事になるなんて。」
社長はチラッと小夜子さんを見てから、私をもう一度見た。
「佐川はすごく心配していたぞ。俺もそれが小夜子さんだったら…。」
社長がそう言うと、小夜子さんが吹き出した。
「もうこんなおばさんをストーカーする人は居ないわよ。」
そんな様子の小夜子さんを見て、社長は顔をゆがめた。
「小夜子さん、社長の気持ち分かってます?」
思わず口を挟んでしまった私は、口に手を当てる。
「相原さんの言う通り。好きな人は自分で守りたいって事だ。それには歳は関係ない。」
社長は真剣な顔で、小夜子さんを見つめる。