あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私は郁也をなだめるように言った。

電話の向こうで郁也は呼ばれていた。

「専務、お時間です。」

その声は間違いなく透さんだ。

「ほら、新専務さん、お仕事でしょ?」

そんな風に茶化した私に、明らかに不満そうな郁也の様子。

「とにかく休みに話し合おう。早くこっちへ来い。」

投げやりにそんな事を叫ぶ郁也が何だか可愛い。

「萌香さん、郁也は何とか仕事に戻すから。くれぐれも気を付けてね。」

郁也のそばで話す透さんの声も聞こえた。

「郁也、透さんにありがとうって伝えてね。じゃあ。」

「こら、萌香…。」

まだ郁也の話声が続いていたが、私は通話を切った。

電話の向こうは忙しそうな雰囲気だった。

郁也、初日から頑張っているんだな。

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